人は悩みに直面したときに、つい反応して「闘おう」としてしまいます。
不愉快な相手、ままならない現実に真っ向から向き合って、反応して、なんとか変えてみせよう、打ち勝ってみせようと、もがき、あがきます。
しかし真相は、「闘って勝てる」ことは、人生には、ほとんどありません。
あなたがどんな地位や権力や財産を手に入れても、あなたが今以上に「強く」なっても、「ままならない現実」は、いつもそばにありつづけるでしょう。
草薙龍瞬
昔のとある偉い人は、生きることとは苦しみの連続であると、喝破した。
つまり生きている限りは決して、この世で悩まないことはない。何をどう努力しても。生きている限りは常に何かに悩むのが人のサガである。
悩みは「消えない」前提で生きる
お金がないときはお金がないことに悩む一方、お金を手に入れたら手に入れたで、手に入れたお金を失うことや、税務署の税務調査に怯える。
素晴らしい恋人を手に入れたら手に入れたで、その恋人を失うことを恐れる。
功成り名遂げて有名になったらなったで、他者からの誹謗中傷に悩み、ストーカーに付きまとわれ私生活は失われる。
何かを得たら得たでまた、新しい悩みが登場する。生きている限り、私たちはその人生で完全に悩みを除去することはできない。
だからこそ、人生成功できれば幸せになれる。「◯◯さえあれば幸せになれる」という思考は、おとぎ話以上に非現実的な話である。
悩みを一生付き合っていく
だからこそ大切なのは、悩みは悩みのまま。その存在を完全に消し去ろうとせず、そこにあるものとして、受け入れてしまうことである。
今すぐ完全に悩みを消し去ることはできない。もしかりに悩みを消し去ることができても、やがては新しい悩みが強制的に登場する。
であるならば、賢い方法はシンプルだ。悩みを消し去ろうとするのではなく、悩みと上手に付き合っていく方法を見出すことである。
生きている限り悩みは尽きない。全てにおいて完璧な現実など決して手に入れることはできない。常に何かが気にかかり、何かが癪に障り、何かが不安で仕方ない。
それが人生である。それが、生きることの現実である。
最後に
生きている限り、気に食わないこと。不安なこと。嫌なこと。苦痛なこと。それがあるのはもう仕方ない。
だからこそ、悩みに即座に反応することをやめること。悩みによって人生を蝕まれないこと。そのための方法を模索するほうが、遥かに現実的な対処法である。
つまり悩みに対する付き合い方。距離のとり方。それを学ぶのである。
そのために大切なのが、悩みに反応してしまわないこと。悩みに振り回され、人生をダメにされないこと。自分を大切にする選択をすることである。
最低限、悩みは消すことよりも大切なのは自分自身の心の反応。そこに気づくことが、本当の意味での心の平和を見出す、第一歩である。
出典
『反応しない練習』