自分以外のものは名ばかりで、つかの間の命しか持たないものとみなし、たとえ周囲のすべてが反対しようとも、自分の意見を貫くことだ。
人間はいとも簡単にバッジや名前、大きな団体や死んだ組織にひれふしてしまう。そのことを考えると、恥ずかしくなるほどだ。
ラルフ・ウォルド・エマーソン
自分が「こうだ」と思うことを信じ、信頼し続けるのは難しい。人はいとも簡単に、周囲の権威者の一声によって、信念を曲げてしまう。
しかし、本当に心から自分が信じること、大切な価値観は、誰に理解されなくとも、最後まで持ち続けたい。
どうやって自分を信じるか
自分の信念を保つということは、人の批判や意見を遠ざけることではない。人の話を聞き、様々な意見を取り入れる視野の広さも必要だろう。
問題なのは、人の批判や評価を、検討もせずに受け入れてしまうことだ。特に、権威のある人からの批判はなおさらだ。
「政治家のAさんがこう言った。東大の学者のBさんがこう言った。だからこの考え方は間違いかもしれない」
このような具合に、批判者が有名で権威があればあるほど、人はいとも簡単に自分の考えを曲げてしまう。
だからこそ、再度自分の中で問いただす。自分が本当は何を信じているか。それは間違っているか。そこでよりよい考え方があるなら、合理的な変節漢になっても問題はない。
しかし、自分のなかで幾度も問いただしてもなお、「これでいい」と思うことは、やはりそれでいいのである。
自分の心に従う意味
大切なのは周りがどう言うかではない。自分がどう思うのか。どう考えるのか。どう感じるのか。すべてはそこに優先する。
自分がいいと思ったことはいいのだし、おかしいと思ったことはおかしい。正しいとか間違っているとか、根拠があるとかないとか、そんなことは対して重要ではない。
つまりは誰か偉い人の言いなりになって、自分の考えを否定しないことである。自分は自分で意見がある。それを大切にしていけばいいのである。
本当に大切なのは、自分にとって正しいということなのだから。
最後に
自分にとって正しい人生。それは自分の信念をつらぬく生き方である。
人と違ってもいい。人から批判されてもいい。人の意見に惑わされず、自分が進むべき道をただ進んでいく。ただ自分の心を信じ、信念をつらぬいていく。
私たちは長い人生において誰かの意見を聞くことはできる。しかし所詮自分の人生は自分の人生。その行く先はみんな違う。だから本当に最後の最後まで、同行してくれるのは自分である。
だからこそ必要なのだ。自分を信じる、ということが。
出典
『自己信頼(新訳)』