よい人生を送るには、よい伴侶が必要だ。よい結婚とは、よい相手を得ることだ。よい相手を得るには、独身時代の生き方が問題になる。
自分が流行を追って、同性と美を争っているときに現れた男性などは、あまり信用のできる相手ではない。
人生とは他との戦いではなく、自分自身のなかにうごめく、わがまま、怠惰、勝ち気、冷淡、さまざまのよからぬ欲望などとの戦いであると知ったとき、わたしたちの生活内容はたしかに変わる。
そして、自分が変わったときには、いつの間にか自分のその生き方を育ててくれる男性が現れるものだ。
ウソではない。わたし自身が変わったとき、三十を半ばも過ぎた寝たっきりわたしにさえ、そんな男性がいく人も現れたのだから。
三浦綾子
結婚とは早い話、巡り合わせである。
そして巡り合わせとは、お互いが出会うべき何らかの必然性によって、与えられたものである。
つまり男性が女性と、女性が男性と。それぞれが出会うべき理由があるからこそ、この世で二人は出会ったのだ。
この意味で、今までの人生で出会ってきた人は、その人が良い人であれ悪い人であれ、何らかの理由があったことに他ならない。
だからひたすら出会いを求めたとしても、「今」その必要がなければ、よい人と出会うことは難しい。むしろ、出会いを焦っているときほどろくな出会いがないのはもはや、人生のお約束である。
「一刻も早く、誰かと出会って結婚したい!」
というあなたには、焦っている今だからこそ、一度じっくり、気持ちを落ち着けて冷静になることをおすすめしたい。
大切なのは、ただ結婚することではない。結婚して幸せになることである。そして、巡り合わせに恵まれている人は、何歳になっても、そのチャンスが与えられる。
そしてその出会いはつねに、あなた自身に気づきと成長を与えてくれる人である。
この意味で、素晴らしい出会いを求めるのであれば、まず変えるべきは自分自身とその生き方である。
それは外見とか目先のことではない。もっと、人としての本質的なものである。そうすれば、それに見合う巡り合わせがやって来る。
男性と女性、お互いが出会うべき目的を果たすために。
出典
『愛すること信ずること』