じつは、孤独になり不幸になることは、たいそう辛いからこそ貴重だと言いたいのだ。その辛さがあなたの目を鍛えてくれる。日ごろ、つい見過ごしてしまう「人生の黒々とした根っこ」がはっきり見えてくる。
中島義道
「友人とケンカしてハブカれた」
「彼女にフラレて独りになった」
「会社の人間関係で失敗して社内ニートになってしまった」
人生一度は、人間関係でつまづく。
周りから人が離れて、気がつけば自分の周りに誰も人がいない。かつて親しくしていた友人でさえ疎遠になって、自分が孤独になってしまったことに気がつく。
孤独=悪は間違いだ
しかし、それが果たして悪いことなのかというと、実はそうでもない。人の周りにいるときは、人との付き合いで気を回し、肝心の自分のことがおろそかになる。
また、人から影響を受け、自分の頭で考えたり、自分の方向をじっくり考えたり、そういった人生で大切なことを真剣に考えるのが難しくなる。
自分の人生を歩むのは自分自身なのに、周りに人がいて、それに安心しきっていると、自分の歩むべき人生から遠ざかってしまうのだ。
だから、考えようによっては、独りの状態というのは、とても貴重な体験になるかもしれないのである。
「独りきり」という最大の学び
独りだからこそ、周りでごちゃごちゃ言ってくれる人がいない。だから自分自身、いろんなことをじっくり考えることができる。
独りだからこそ、人の目を気にせず、自分主体、好きなことを自由にやれる。「独りのときだからこそ」できることが確かにあるのだ。
人は社会的動物だから、いつまでも独りきりというのは難しいが、人生、周りから人がいなくなって、独りで過ごす時間のときは、そのときにしかできないことをやっておきたい。
そうすれば、また周りに人が集まってきたとき(そのときは必ず来る)、あなたはもっと、魅力的な人間になっていることだろう。
だから孤独が必要だ
そう、孤独を恐れる必要は全くない。
今まわりに誰もいない孤独な暮らしをしているならば。それはむしろチャンス。自分がもっと豊かに。もっと賢く。もっと強く。
人として一皮むけるための最強のチャンスかもしれない。
その孤独な時間を絶対にムダにせず、今しかできないことをしよう。今したいことをしよう。今しか学べないことを学ぼう。
それが、人生で孤独を経験する絶対的意味なのだから。
出典
『孤独について』