確かに人生は失望の連続だ。だから人生を生きる価値がある

自分の人生を精一杯生きる

真実や現実をきちんと見ながら、それでも意欲を失わずに生きていくこと。

つまり、「人生は思いのままにならないものである」ことをわかっておくこと、体得することが人格の成熟の要です。

しかしながら、このことには当然大きな苦しみが伴います。

諸富祥彦

人生は思い通りにならない失望の連続。

嗚呼これは、なんと残酷な現実だろう。

努力しても報われず、なりたい自分になろうとしてもなることができない。失望につぐ失望で、それでもなお生きていく意味はあるのだろうか?

それでも生きる理由はあると信じたい。たとえ、なにもかも期待はずれの人生だったとしても。

人生は失望の連続

人生をあきらめる。

それは常に、筆舌に尽くしがたい苦しみを伴う。

何か一つ、人生であきらめるたび、私たちは大きな苦しみを感じ、前へ進んでいくことすらできないほどの、絶望にのたうち回る。

人生、どうでもいいことをあきらめることに大した苦しみはない。

しかし、心から本当に強く願うこと。努力に努力を重ね、最善を尽くしたこと。

何もかもすべて、徒労に終わり、「それを手に入れることはできない」現実を目の前に突きつけられたとき。

「苦しい」という言葉ではとうてい表現することができない、大きな苦しみを味わうことになる。

「人生が思い通りになる」という幻想

残念ながら、この世に生まれてからには、何一つあきらめず、人生で完全なる幸福を実現できる人はいない。

なぜなら、何もかも自分の思い通り完璧に物事がうまくいき、すべての結果が自分の思った通りに行くことが、そもそもあり得ないからである。

何かをあきらめる。それによって激しい苦痛を経験する。

あきらめる苦しみを何度も何度も経験し、それでもなお、自分の人生をつかもうとあがく。

もし生きる価値が本当にあるとしたら、まさにここにこそ、その価値があるのだと思う。

本当に人生を生きる価値

どんな状況になっても自分自身をあきらめない。人生、前へ進んでいくことをあきらめない。

大切な何かをあきらめることになったとしても、苦しんだあとにそれを受け入れて、ヤケを起こさずに生きていく。

その姿勢こそ本当に、大切なことである。それは本当に苦しいことである。

自分の努力や行動ではどうにもならない限界がそこにある。思い通りにならない苦しみがそこにある。

しかしそれでも、苦しみを甘んじて受け入れて生きていく。それがまさに、人生力。生きる価値を見つける力である。

最後に

人生をあきらめ、それでも前へ進んでいく。

そのための強さをどうやって身につければいいのか?それは正直分からない。

ただ一つ言えることは、何かをあきらめ、挫折を味わうその苦しみを、一つ一つ、乗り越えていくしか道はない、ということである。

あきらめる苦しみを何度も何度も味わって、それでも自分を見失わず、自分の人生を見捨てずにできる限りの日々を送っていく。

そこにこそ本当に、人生大切な何かがあるのではないか?

なぜなら自分の人生がどうなろうと投げ出さない。今できる最善を尽くして行くていくこと。

それがきっと、本当に意味で自分を信頼することなのだから。

出典

『「本当の大人」になるための心理学』(集英社新書、2017年)