「自分だけは大丈夫」と考える責任と代償【楽観バイアス】

用心深い男

人生に希望を持ち、「なんとなるさ」と前向きに生きていく。それはとても大切な心構えだし、自分が自分を信じている限り途中経過がどうであれ最後にはなんとなる。

それは紛れもない事実なのだが、最後の最後で「なんとかなる」ためには条件がある。そこで知っておきたいのが「楽観バイアス」の話である。

少しネガティブな話になるが、この考え方は特に今後、激動の世の中を生きていく上で特に重要な考え方になる。耳障りが良い話ではないかもしれないが、それでもなおこの話は伝える価値があると考えている。

変動の先に「めでたしめでたし」を迎えたい方は、ぜひ参考にしてみてほしい。

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端的に言うと「最悪に備える」心構え

それで何の話なのかというと、「最悪を想定してその最悪が実現しないための行動を起こしなさい」という話である。

これから「可能性として」起こるうる不都合な事態を想定し、それが現実にならないために今自分が何をすべきなのか?これから何を優先してto doを実行していけばいいのか?

冷静に考えるのである。

つまり、あなた自身がそれとなく感じている恐怖や不安を否定せず、むしろネガティブな感情と直面した上で、今これからあなたができることにフォーカスしていくのである。

「見なければ」存在しなくなるか?

世の中には、「自分が意識したものを現実に引き寄せる」という考え方がある。

すなわち自分にとって嫌なこと。不都合なことに意識を向ければそれが現実で実現する。したがって普段から意識的に嫌なことや不都合なことを意識しなければそれが現実では起こらない、という考え方である。

確かにこの考え方は日常生活において一定の範囲で役立つ考え方ではある。

嫌なことに意識を向けていれば気分が滅入る。悪い想像をしてしまう。だから意識的に意識しないようにすることは日常生活のストレスを抑える上で有用である。

ただしそれは「平時の安定した世界において」という条件付きである。

ネガティブな感情=生存本能からのメッセージ

与えられているものに無駄は一つもない。

我々はネガティブな感情を嫌いポジティブな感情のみを肯定する傾向があるが、忘れてはいけないことが一つある。それはネガティブな感情は重要なサインが含まれているということである。

ネガティブな感情とはいわばあなたの生存本能である。それはあなたにとっての「脅威」を警告するサインである。

だから、ネガティブな感情に目を背けている場合。「それは危険ですよ」という本能からの重要なメッセージを無視するに等しい。

結果、あなたにとって危機が訪れているにも関わらず、それに対処する手段を講じないまま、実際に最悪が起こってしまうリスクがあるのである。

「自分だけは大丈夫」と考える習性

特に認識しておきたいのが、我々が備えている楽観バイアスという習性である。

私たちは誰もが皆、「自分の都合の良いように」物事を考える傾向を持っている。何か起こっても自分だけは大丈夫。そのように無意識に考える習性がある。

だから、「自分だけは大丈夫」「ネガティブな情報は見ない」と現実を無視し続けているならば。まさに楽観バイアスの罠にハマってしまうだろう。

それは平時の状況であるなら何の問題もない。社会秩序は安定しているため、最悪を想定しなくても、なんとかなってしまうことは実際にある。

だから「最終的になんとかなる」と希望を持つことは大切である。それは当ブログでも繰り返しメッセージを発信しているとおりである。

警告を無視する責任の行方

ところがである。今我々が生きている世界は現在進行形で大きな変化を迎えている。もはや過去の「前例」をあてにすることはできない。

なぜなら我々は歴史の大きな転換点に直面している。今後あえてネガティブな感情を直視できる人だけが、変化の先に希望を見つけることができるのである。

だからこそ、ネガティブな感情が教えてくれるサインを無視し続けていれば。まさに「I can fly!」状態。やがて自分自身でその責任を取ることになるだろう。

そうならないために大切なのは、今あなたが感じていること。いや、感じないようにしていることにあえて自分からフォーカスを当てていくことである。

それはそこに存在している。だから気づいてあげることである。

今起こっていることを知る

今後、具体的な行動を起こさないまま「自分だけは大丈夫」と考えることは非常に危険である。むしろやるべきことは逆である。

まず今起こっている現実を知ることである。そのための情報を集める。その上で、これからあなたにとって「これだけは起こってほしくない」というネガティブな想像をあえてしてみる。

その後、「それが実現しないために今できること」「これからあなたがすべきこと」を考え、リスト化する。

そして、不安や恐怖。そういった感情を注意深くキャッチして、それらがあなたに何の警告をしてくれているのか?慎重にその声を受け止め、リスト化した行動を実行していく。

これが楽観バイアスに抗い、激動の変化を乗り越えていくポイントである。

最後に

ここで繰り返し強調したいのは、私たちは常に「自分が見たいものだけ見ようとする」習性があるということである。

つまり、不都合なことは考えないし考えたくない。嫌なことは見たくないし、見ようとしない。そういう傾向がある、という話である。今まではそれでも良かった。

しかしこれはそうではない。

あえて嫌な感情。ネガティブな情報に直面し、その上で今自分ができることは何なのか?今目の前で起こっている現実と向き合える人が、変動の先に希望を見出すことができるだろう。

だから過小評価してはいけない。私たちが生きている現実の世界で起こっていることを。