物事には必ず、良い面と悪い面がある。
だから、「私は自分の○○という性格を変えたいんです」という悩みに対する正しいアンサーはとてもシンプルである。
「あなたは性格を変える必要はありません。ただし、その性格の悪い面ではなく良い面が活きるようにしましょう」
はじめに
性格とは「条件」である。それは私たちが生まれたときに与えられる、変えられない運命と言ってもいい。
与えられたものを変えようとするのはむしろナンセンスである。理由は分からないが、そういう性格が与えられたのだから、それと付き合っていくしかない。
いやむしろ、付き合っていくことに実は「自分にとって意味」があるのだ。
もしあなたが、「なぜ自分はこんな性格なんだろう?」と悩んでいるとしたら、
1・性格を言語化してリストアップする
2・リストアップされた性格の良い面と悪い面を自己認識する
3・「可能な限り」性格の良い面が引き出される立ち振舞を意識する
というアクションをおすすめしたい。
性格には良い面と悪い面が「必ず」ある!
『ローマ人の物語』で知られる塩野七生大先生が述べたように、人に与えられているもののすべては例外なく、良い面と悪い面を併せ持つように運命づけられている。性格もまた、その例外ではない。
どんなに「良い」と思える性格も必ず、「悪い」面がある。
素直さは悪人にかんたんに言いくるめられる。愛想の良さは八方美人につながりやすく、深く人から信頼されることはない。信念の強さは変化を拒む頑固さへつながる。
一方。「悪い」と言える性格によって人生が救われることも少なくない。
他人の顔色が気になって仕方がない人や、自分に自信がなく予期不安を感じやすい人が持つ「小心」な性格は、その不安で仕方がないその性格によって、過ちから自分を守るために様々な準備をする。
「明日悪いことが起こる」と考え、悪いことに常に備える。だから「大過」は「小過」、もしくは未然に防がれる。
それが与えられたなら、良い面を引き出せばいい。
「三つ子の魂百まで」で、性格を変える努力はそもそもが、無駄に終わりやすい。であるならば、私たちにできるのは、その与えられたものを最大限に活用することである。
現実問題、ないものねだりをしても仕方がない。それと同じく、既にそこにあるものを否定しても仕方ない。それなら使えばいい。できる限り、それがプラスになるように。
性格も同じである。
性格には必ず、「良い」面と「悪い」面が両方ある。大切なのは使い方である。まずは自分の性格を自覚した上で、性格の「悪い」面と「良い」面を知る。そして、どうすれば「良い」面を引き出すことができるか?
私たちがコントロールできることは、その力を用いる方向性を変える努力である。その努力の価値はプライスレスだ。
最後に
私たちの人生は不思議なことに、私たち自身が否定したくなるものによって救われることがしばしばある。
「自分のここが嫌いです」という要素が、人生の思わぬ場面、思わぬタイミングで、自分を助けてくれるのだ。逆に、「自分のここが好きです」という要素によって、人生の思わぬ場面、思わぬタイミングで、それが仇となることが少なくない。
すなわち、どんなネガティブな要素であれ、一皮むけばそれは、あなた自身を輝かせる力になる可能性を秘めている。だから性格は変える必要はない。問題があるとするならば、その「使い方」なのだ。