不安で苦しい、そんな恋ほど報われないのは

男気を発揮する

情熱とは一種の本能で、努力も忍耐もなく、誰でも異性に抱くことのできる烈しい、炎のような執着感情です。

だがこの情熱には一つの特徴がある。

それは不安や苦しみが多ければ多いほど、情熱の炎はつよく燃えあがるということです。

遠藤周作

人生ときに、理屈も分からず、無性に惹かれてしまう異性との出会いがある。

理由もないのに、なぜか烈しく惚れてしまい、24時間、常にその人のことを想っている。その気持ちが成就すればいいのだが、無性に惚れてしまう相手ほど、恋愛は上手くいかない

こちらの気持ちは高まるばかりなのに、相手にとって自分はゴミのような存在で、全く意味を成していない。常に「あなたに脈はないです」という態度を貫かれる。

どれだけ頑張ろうと、気持ちを受け入れてもらえることなく、決して想いが成就することはない。可能性はゼロ。

それは最高に惨めな経験である。

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執着が不幸を呼び寄せる

冷静に考えると、そういう相手からはさっさと離れて新しい恋を見つけるのが最善の道なのだが、こういう最悪の恋に限って、それがなかなかできない。

その理由は多分、執着しているからだと思う。

好きで好きでしかたない、でも相手は私のことをどうでもいいと思っている。苦しい気持ち、不安な気持ちが執着心となり、ますます執着してしまう。

それは自分でもコントロールできなくて、恋が全く上手くいかないがゆえに、ますます相手に執着して恋の炎を燃え上がらせてしまうという、最悪の悪循環にハマっていく。

そして最後には、その失恋で大ダメージを負う。結局、何もかも上手くいかなくて、悲しく虚しい体験になるのがお約束だ。

どれだけ最善を尽くしても、結局傷つくことになるが、それはある意味仕方がないこと。交通事故にあったようなものだ

苦しい恋は一度だけでいい

しかし、それでもそれは、貴重な人生経験になる。

「苦しい恋ほど、それは悲しくて苦しくて、結局報われない」という大人の経験を積んで、それを次に生かすことができるはず。

何より、どうにもならないことはどうにもならない、それが分かっただけでも十分なのだ。

本来、誰かを好きになることは幸せなことである。それなのに、好きになってしまったのに苦しいだけ。不安なだけ。

それは何かが間違っている決定的証拠である。

苦しい恋は人生一度だけでいい。誰かを愛するチャンスがあるなら、そこには幸せがあっていい。それが本来、正しい恋の姿なのだから。

出典

『ひとりを愛し続ける本』(講談社文庫、1992年)