「なんか違うなぁ」といつも心のなかで思っているあなた。実はあなたには才能がある。ただ、周りの空気を読んで、いい人を演じて、その違和感を押さえつけて、ないことにしてきただけなのだ。
ところが、本当の才能や独創性といったものは、そういった属することができない違和感のなかにこそある。
山田玲司
この世の中で最終的に「自分の居場所」を見つけることができる人は、最後まで自分のことを信じられる人である。
たとえあなたが、周りと折り合いをつけることができなくて、集団になじめずに惨めな青春時代を送っていたとしても、それは長い目で見れば問題ない。あなたが自分自身を信じることができれば、最終的にあなたは自分の居場所を見つけることができる。
そのために大切なのは、あなたが心で感じる正直な感覚を大切にすることである。つまり、「ここは自分のいるべき場所ではない」と感じたとき、それは正しいのだ。
はじめに
我慢は確かに大切である。環境に自分を適応させ、なじませる努力をすることはとても大切だし、常識的な大人としての基本的な振る舞いである。
だが、すべては程度問題である。世の中には実際のところ、「今すぐここから離れましょう」という環境は実際にある。なぜなら、不適切な環境に自分を無理やり適応させてしまうことによって、人生が文字通り「台無し」になってしまうこともあるからだ。
「自分の人生」は生きている限り続く。だからこそ、良くも悪くも自分のことは、自分自身がしっかり考える必要がある。それは「自分さえ良ければいい」という話ではない。だが自分のことをしっかり自分自身で考えることは、とても大切なことではないだろうか。
人生は建て直せる。居場所は再び探せる。
たとえばあなたはある職場に勤める。そこであなたに全く非はないにもかかわらず、一方的にクレームを受け続けたり、理不尽な理由で責任を転嫁され、常に精神的な圧迫を受け続ける。
常識的な判断として、その場所に居続けることは正解だろうか。その場所で健全な精神を維持することはできるだろうか。この場合、「今すぐそこから離れます」という決断をしたとしても、それは人として極めて合理的な行動である。
人生、長く生きていると「明らかにこの場所はおかしいな」「この人間関係に深入りしてしまうとヤバいな」という場所があることを学ぶ。万が一そのような場所に属することになってしまったとき、一時的に我慢が功を奏することもあるにはある。
だが大切なことはダメージが小さいうちに、そこから一刻も早く抜け出すことである。それは、自分の人生に責任を持つための大切な行動である。ダメージが小さければいつでも人生を建て直すことができるのだから。
「人と違う自分」を認める
問題がそこまで複雑ではなくても、「違和感」を感じる場所はたしかにある。
わざわざ周りの人に嫌われることはしていない。空気を読んで、周囲と合わせることはできている。だが、それがだんだんと辛くなってくる。そして息苦しさと、「自分がいる場所はここではない」という感覚を拭い去ることができない。
このとき私たちは、「自分をごまかし続けることができない」ことを学ぶ。そして、本当に自分が自分として生きている場所が他にないか、気になり始める。これは人生でしばしば、起こることである。
だから、自分に正直になってもいい。違和感を感じたとき、孤立することや人から嫌われることを恐れすぎる必要はない。「人とは違う自分」がいることを、大切にしていい。そこにあなたがあなたでいる根源的な意味がある。
最後に
私たちはそれぞれ、一人ひとりが固有の存在であり、誰もがそれぞれの人生を歩んでいる。そこに成功だとか失敗だとか、「尺度」を作ることはナンセンスである。
人からどう言われようと、自分が自分にOKを出せない生き方は決して、満足できない。なぜなら、自分は人生でつきっきりで存在する唯一の人物であり、決して嘘をつけない人物だからである。
だからこそ、である。あなたは自分が感じたことを大切にしていい。尊重していい。それらはあなたがいるべき場所へと向かうための、道標なのだから。
出典
『非属の才能』