本当に大切なものは苦労なくして手に入らない。苦労するからそれは本物になる

悲しみに沈む女性

苦しんだり楽しんだりして、修行を重ね練磨して作り出した幸福であってこそ、その幸福は長続きする。

また、疑ったり信じたりして、苦心を重ね考え抜いた知識であってこそ、その知識は本物になる。

洪自誠(中国明時代の著述家)

人生がもし、何の苦労もなく何もかも思い通りにいったらどれだけ楽なことだろう。幸せになれることだろう。

そんなことを想像してしまうが、実際問題、人生で何も苦労なく何もかも思い通りになったとしたら、それは最悪に退屈な人生になることは間違いない。

普通、生きていく上で苦労や苦しみなんて味わいたくないのが自然だが、苦労や苦しみのない人生に、本当の喜びや幸せは見出せない。

逆説的だが、人生不幸続きの人こそ、本当の幸せをつかむ権利が与えられる。苦労して不幸だからこそ、幸せが人一倍実感できる。

だから痛みなくして得られるものなし。

人生で本当の幸せを得ようと思ったら、人生で本当に大切な何かをつかみたいと思ったら、それ相応の苦労や苦難が必要なのだ。

どうしようもなく苦しみ、悲しみ、苦労をし、そこから見いだせる何かが、自分の人生でとてつもなく大きな意味を持つ。

それこそが、他の誰のものでもない、自分だけの大切な人生の気づきになる。その気づきを得ることこそが幸せへの道につながっていくのだ。

苦労して苦しむからこそ、幸せのありがたさが分かる。不幸でないことの価値が分かる。

もし人生でつまづき悩んだときは、そのことを思い出したい。その苦しみは決してムダではないのだから。

出典

『菜根譚』(岩波文庫、1975年)