シンプルな生き方は豊かである

シンプルライフ

私が確信しているのは、我々が質素で、賢い生き方さえすれば、この地球で自分一人を養うのはさして辛いことではなく、楽しいことだという事実である。

ソロー(アメリカの思想家)

人生を生きていくには、ほどほどの節操と、それなりの欲望が重要だ。自分に合う家、身の丈にあった服、栄養の取れる食事。

衣食住を満たして、文化的な趣味がいくつかあれば、収入が少なくとも、それなりに豊かな生活は送ることができる。

問題なのは、比較と競争を自分の人生に持ち込んで、限りない競争と消費のレースに無自覚に巻き込まれる人生を送ることだ。

ちょっとテレビをつければ、最新の家電など、「新しい」「便利」ば商品の情報が洪水のように押し寄せてくる。

そして、自分が今持っているモノが、「古い」「価値の無いもの」に思えてくる。しかし、これは罠なのだ。

つねに新しくて良いものを求めるのはエキサイティングで楽しいのかもしれない。高価なものを持っていれば、それをチヤホヤしてくれる人もいるだろう。

でも、それがどうしたというのだ?

シンプルに暮らして、幸せに生きていくには、別に新しくて便利なものは不必要だ。

必要なのは、衣食住を満たす最低限のものと、心を満たす楽しみだ。モノを増やしてもそのための場所を増やすだけで、心は決して満ちたりない。

結局、いくらモノを増やしても、心のスキマは満たせすことはできない(モノで埋め合わせるほど、心はそんなに単純ではない)。

モノを増やしたり、消費レースに巻き込まれていくうち、無自覚のうちにどんどん心のスキマを増やしていく。

物欲レースに参加しているときは、それはそれで楽しいときもあるが、本質的な生き方とは程遠い。

もし、自分が気づかないうちにレースに巻き込まれていることに気がついたら、一度、何が本当に必要でそうでないのか、考えてみるといいかもしれない。

そこからきっと、見えてくるものがあるはずだ。

出典

『森の生活』(講談社学術文庫、1991年)